確証バイアス・選択的注意
「ちゃんと考えているつもり」の正体
人は、自分の考えを持っているときほど
「私はちゃんと考えている」と感じます。
しかしその裏で、
私たちは無意識に ある行動 を取っています。
自分の考えを強める情報だけを集め、
都合の悪い意見からは目をそらす。
この現象を、
ダニエル・カーネマンは
確証バイアス(confirmation bias) と呼びました。
確証バイアスとは何か?
確証バイアスとは、
自分の考えを支持する情報ばかりを集め、
反対する情報を無視・軽視してしまう思考のクセ
のことです。
重要なのは、
これが「意図的な偏り」ではない点です。
私たちは無自覚に、
この行動を取っています。
人は「探している答え」を見つけてしまう
インターネット検索を思い出してください。
- 「◯◯は正しい」
- 「◯◯ 危険」
どんな言葉で検索するかによって、
出てくる情報はまったく変わります。
そして人は、
最初に納得できた情報を
「答え」だと思ってしまいます。
なぜ反対意見は「不快」に感じるのか?
反対意見が不快なのは、
それが私たちの自尊心を刺激するからです。
- 自分が間違っているかもしれない
- 判断が無駄だったかもしれない
- 今までの選択が揺らぐ
脳はこれを
危険信号として扱います。
感情が先に動き、理由は後から作られる
反対意見を見た瞬間、
- 嫌だと感じる
- 理由を探す
- 否定する
この順番で反応が起きます。
つまり、
論理で拒否しているのではなく、
感情を正当化しているのです。
確証バイアスは「自分は公平だ」という錯覚を生む
確証バイアスの厄介な点は、
本人に自覚がないことです。
多くの人はこう思っています。
「自分は両方の意見を見ている」
「感情ではなく、論理で判断している」
しかし実際には、
- 賛成意見は丁寧に読む
- 反対意見は粗探しをする
という非対称な扱いが起きています。
SNSは確証バイアスを強化する装置である
SNSは、
確証バイアスと非常に相性が良い環境です。
- 似た考えの人が集まる
- 共感されやすい意見が拡散される
- 反対意見は攻撃的に見える
結果として、
同じ意見だけが強化される空間が生まれます。
「みんな同じ意見」は安心感を生む
これは同調バイアスともつながります。
【ファスト&スロー】なぜ人は「みんなが選んでいる方」を選んでしまうのか?
- 反対が少ない
- 賛成が多い
この状態は、
思考の正確さではなく
心理的な安全を与えます。
物語・数字・権威は確証バイアスを固定する
ここで、⑲〜㉑がすべてつながります。
- 物語(【ファスト&スロー】人はなぜ「わかりやすい話」に騙されやすいのか?)
- 数字(【ファスト&スロー】なぜ数字があると、判断が正しそうに見えてしまうのか?)
- 専門家(【ファスト&スロー】なぜ人は「専門家の言葉」を無条件で信じてしまうのか? )
これらはすべて、
確証バイアスの材料になります。
一度信じた判断は、
あらゆる情報を使って
補強されていくのです。
スロー思考は「反対意見を探す」ことから始まる
スロー思考(システム2)は、
自然には起動しません。
意識的に、
次の問いを立てる必要があります。
- もし逆だったら?
- 反対の立場ならどう言うか?
- この意見の弱点はどこか?
これは不快ですが、
判断の精度を上げる唯一の方法です。
まとめ|考えているつもりのときほど、疑う
確証バイアスは、
私たちに「考えている感覚」を与えます。
しかしその多くは、
考えた結果ではなく、
守った結果です。
本当に考えるとは、
自分の考えが崩れる可能性を
一度受け入れること。
それが、
ファスト思考から抜け出す
最後の一歩です。
この記事で紹介したことは、
ダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』で、より体系的に解説されています。
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